COMPETITION PROJECT / LLM MULTI-AGENT

継承する村

死んだ世代の失敗と感情を、
次の世代へ。

コンペ参加をきっかけに、約2週間で作ったローカルLLM社会シミュレーションです。 4人の村人が生活し、会話し、失敗し、日記を書く。世代が終わると、その経験だけを次の村人たちが受け継ぎます。

Competition version submitted2026.08.13 — 08.30Solo project + CodexPython + Ollama + Qwen3.6-27B

COMPETITION ENTRY

締切のあるコンペを、
2週間の研究開発スプリントにした。

このプロジェクトは、2026年8月のコンペ提出作品として始めました。 最初から完成した研究テーマがあったわけではなく、実際にシミュレーションを走らせ、失敗ログを読み、 Codexを開発パートナーとしてコード・分析・資料化を繰り返しながら、約2週間で提出できる形まで育てました。

コンペ版では「失敗した世代の経験を、次世代が自然言語で受け継いだら何が変わるのか」を中心に、 食料採取だけのMVPから、感情日記、客観的失敗報告、ダンジョン、戦闘、素材納品、個人地図、2Dリプレイまで実装しました。

約2週間構想・実装・実験・提出資料まで
4 AgentsローカルLLMで動く村人
G1 → G18開発と継承を同時に進めた試行錯誤

REPLAY

村人たちの行動を、あとから全部見返せる。

座標、目的、会話、HP、食料、戦闘、死亡まで全stepを保存し、 2Dマップとして再構成しています。

継承する村の2D行動リプレイOpen replay video ↗

QUESTION

失敗を経験していない次世代は、先人の言葉から学べるのか。

最初に作ったのは、村人が食料を集め、夜までに帰るだけの小さな生存シミュレーションでした。 しかし、それだけでは「記憶を継承する意味」が分かりにくい。

そこで課題を、ダンジョン探索、武器取得、魔物討伐、素材回収、村への納品まで含む 複数日の長期タスクへ拡張しました。村人たちは毎日を生き延びながら、5日以内にこの工程を完了しなければなりません。

SYSTEM

LLMには考えさせる。
世界の事実はPythonが決める。

LLM

村人が決めること

  • 何を目的にするか
  • どこへ移動するか
  • 戦うか、待つか、撤退するか
  • 仲間へ何を話すか
  • 何を覚え、どう反省するか
PYTHON

世界が確定すること

  • 座標、時刻、昼夜
  • 食料、HP、装備、在庫
  • 戦闘ダメージと死亡
  • 素材納品と期限判定
  • 世代交代とチェックポイント

「成功した」とLLMが言っただけでは成功扱いにしません。実際に何が起きたかはPythonの客観ログで検証します。

INHERITANCE

継承されるのは、武器ではなく言葉。

Generation N行動・会話・失敗
→
感情日記後悔・恐怖・教訓
+
失敗報告書死因・未完了工程
→
Generation N+1新しい個体が読む

日記は村人自身が書く主観的な記録です。一方で、死因、食料不足、武器取得、素材納品などはPythonが客観的な失敗報告書として残します。 次世代は両方を読み、自分の性格に合わせた戦略を作ってから生活を始めます。

TWO-WEEK BUILD LOG

締切までの2週間、
失敗するたびに世界を作り直した。

01
START

まずは食料を集める村

4人の村人が採取し、夜までに帰るMVPから開始。小型モデルではJSON切断や振り子移動が多発しました。

02
MODEL

Qwen3.6-27Bへ

採取→帰還→納品、夜間待機、目的維持が安定。ここで初めて、長期記憶そのものを観察できる土台ができました。

03
FAILURE

全員が重要性を理解しているのに、誰もやらない

素材任務を「誰かが担当する」と互いに解釈し、全員が食料へ戻る責任分散を観測。理解と実行が別問題だと分かりました。

04
ITERATION

地図、行動Schema、記憶圧縮を修正

ダンジョン経路、武器庫在庫、目的と行動の候補、再開機能を整備。情報を増やすだけでなく、現在必要な情報を短く正確に見せる方向へ変えました。

05
G18

18世代目で初めて全工程を完遂

強い槍を取得し、魔物を倒し、素材を回収して村へ納品。開発史として初めて5日周期の課題を突破しました。

06
CLEAN START

最新システムを固定し、記憶ゼロからやり直す

新規G1は素材を持ちながら全滅。次のG2はその未完了工程を継承し、Day 3に素材を納品、Day 5判定まで成功しました。

KEY RESULTS

反省が、少しずつ行動へ変わっていく。

G18開発史で初の全工程完遂
Day 3固定版G2で素材納品
10 / 9観測だけで形成した地図のノード / 辺
1,1005日・4人で最大の行動判断回数
Generation 2で素材納品に成功した時点の2Dマップ

CLEAN START / G1 → G2

前世代があと一歩で死んだ。次世代は、その続きをやった。

G1は武器取得、魔物討伐、素材回収まで進みながら、夜間帰還に失敗して全滅しました。 客観的失敗報告には「素材を村へ持ち帰って納品する」が未完了工程として残ります。

G2はその記録を継承し、武器取得と討伐を前倒し。Day 3に素材を納品し、Day 5の最終判定まで到達しました。

INTERESTING FAILURES

成功より、失敗の方が面白かった。

01

責任分散

全員が素材任務の必要性を語るのに、「他の誰かがやる」と判断して担当者が消える。

02

食料の過剰供給

生存はできても、確実に報酬が得られる食料へ局所最適化し、長期任務が進まない。

03

戦闘ループ

HPや状況が変わらないまま、戦闘開始と即時撤退を何度も繰り返す個体が現れた。

04

帰還の遅れ

素材まで取れても、長い帰路と夜の危険を同時に扱えず、村へ戻る直前で死ぬ。

WHAT I CAN'T CLAIM YET

「日記のおかげで賢くなった」とは、まだ言えない。

G1〜G18の途中では、地図、プロンプト、ダンジョン、行動Schema、記憶圧縮などシステム自体も改善しています。 そのため、18世代目の成功を日記継承だけの効果とは解釈できません。

最新システムを固定したG1→G2では、未完了工程と整合する改善が観測されましたが、まだ1 seedです。 次に必要なのは、同じ世代境界から「客観報告だけ」と「客観報告+感情日記」を分岐し、複数seedで比較することです。

AFTER THE COMPETITION

提出して終わりではなく、
ここから研究として続けたい。

コンペ版で「動く基盤」と「面白い失敗」は作れました。一方、日記継承の因果効果はまだ未確定です。 次は日記ON/OFFの因果比較、地図そのものの世代継承、誤った記憶の伝播、複数集団で異なる文化が育つ条件を試します。

最終的には、世界の規則と住民の性格を与え、その歴史を観察する「物語生成のための社会シミュレーション」へ広げたいと考えています。